法人税法上の役員賞与の処理について、節税対策の方法を確認します。
役員賞与は法人税法上損金不算入
臨時に支払う役員賞与は、法人税法上、損金として処理できません。
損金に算入できないということは、会計上の利益に、さらに役員の賞与の金額に相当する所得の増加になります。
法人税は、この所得に対して課税されるので、役員の賞与相当に対する金額に対して法人税が課税されることになります。
使用人兼務役員とは
役員に対する賞与は、全て、法人税法上、損金として処理できないのでしょうか。
社長や専務などの役職のある役員に対して、支払われる賞与は、損金にはできません。
ただし、使用人兼務役員といわれる人に対する賞与は、使用人分に対する賞与分を損金として処理できます。
使用人兼務役員とは、「会社の役員で、部長や課長といった使用人としての職制上の地位があり、その職務に従事している者」になります。
使用人兼務役員としての法人税法上の要件は、以下の3つになります。
・平の取締役であること。
代表取締役社長や専務、常務、副社長などの肩書きがないことが条件です。
・部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有していること
・常時使用人としての職務に、実際従事すること
名目上ではなく、実体として使用人の職務に従事
具体的には、取締役工場長や、取締役営業部長などが使用人兼務役員となります。
使用人兼務役員の使用人賞与分の取り扱い
使用人兼務役員に対する賞与は、使用人部分に対して支払われた賞与は費用扱いとなります。
よって、使用人兼務役員に対する賞与が費用になる分、会社にとっては法人税の節税につながります。
この使用人兼務役員に対する賞与を法人税法上、費用とするには、以下の要件を満たす必要があります。
・使用人部分に対する賞与のみを費用とすることができる
・賞与が、他の従業員と同じ日に同じ支給基準で支給されていること
・賞与の額が社会通念上妥当な金額であること
・賞与が費用処理されていること
まとめ
役員に対する賞与は、法人税法上、厳しい制限がありますが、使用人兼務役員の賞与に対しては、条件により費用とできるので、検討すべきでしょう。