短期前払費用の処理を行うことで、法人税の節税になります。
この方法としくみについて確認します。
会計上の前払費用
企業会計の目的は、適正な期間損益計算を行うことです。
適正な期間損益計算とは、適正に利益を計算することです。
よって、決算期以降、余分な費用を支払っていたら、当期の費用から減少させる必要があります。
仮に保険料を決算期以降の分を先に支払っていた場合には、その部分は前払保険料として処理され、当期の損益計算には影響されません。
そして、次期になったら、この前払保険料は取り消されて、支払保険料という費用として、処理されます。
短期前払費用の特例
法人税法上は、会計上と前払費用の取扱いが変わってきます。
短期前払費用の特例があり、1年分の費用を先に一括で支払った場合、法人税法上、全額を損金算入することができます。
仮に毎月1万円の保険料を支払っていて、決算月に年払い契約にしたとします。
この場合、1万円×11ヶ月+、1万円×12か月=23万円を保険料として、損金算入することができます。
ただし、この処理を行うには、以下の要件を満たす必要があります。
・1年分のサービスを受けること
・その期間中に1年分の支払いを実際に行っていること
・継続的に1年分の支払を行っていくこと
ここで大事なのが、継続的に1年分の支払を行っていくことであり、実態として、年払契約であるという契約書を再度、作成する必要があることです。
また、この短期前払費用の特例は、保険料だけでなく、家賃やリース料にも適用することができます。
まとめ
短期前払費用の特例を利用することで、多くの費用を損金算入することができます。
ただし、1年分に費用を支払うだけの資金がなければ、この特例を利用することはできません。
よって、この特例を利用する場合は、キャッシュの見込みを想定して、行うべきでしょう。
特に年払いに切り替える期間は、キャッシュに余裕がないと厳しいでしょう。