(法人税対策)貸倒引当金計上

まだ、貸し倒れの状態ではないが、貸し倒れが予想される場合、決算の段階で、貸倒引当金を計上することができます。

この貸倒引当金の計上処理について、確認します。

貸倒引当金の計上

決算の時点で、倒産するとは予測できない場合で、急に倒産することはありえます。
健全な金銭債権であっても、回収不能となる可能性があります。
よって、次期以降に発生すると見込まれる貸し倒れについて、会計上は貸倒引当金を計上します。
会計処理としては、まず、金銭債権の評価減を行います。
また、貸し倒れが生じると予測される費用も計上します。
この費用は、貸倒引当金繰入額として、一定の要件を満たした場合に、損金算入することが認められます。

 

個別評価金銭債権と一括評価金銭債権

法人税法上、金銭債権は、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権とに区分されます。
個別評価する金銭債権とは、俗にいう不良債権なります。
一括評価金銭債権とは、不良債権以外の金銭債権になります。
この2つの債権に対して、貸倒引当金を設定しますが、それぞれの債権に対する設定方法を確認します。

 

個別評価金銭債権に対する貸倒引当金の計上

個別評価金銭債権については、個々の相手先の状況に応じて実質基準や形式基準などに基づいて繰入限度額を計上します。

実質基準

以下のいずれかの要件を満た場合、個別評価金銭債権のうち取立見込がない部分を繰入限度額とします。
・経営は破綻していなくても、いわゆる債務超過の状態が相当期間継続し、好転する見通しがないという場合

・災害、経済事情の急変等により多大な損害が生じた場合

形式基準

手形交換所の取引停止処分を受けたり、法令の整理手続開始の申立てをしたりする場合、以下の金額を繰入限度額とします。

(個別評価金銭債権-取立等見込額)×50%

取立等見込額とは、以下の金額になります。
・実質的に債権とみられない部分の金額
・担保されている部分の金額
・保証されている部分の金額

一括評価金銭債権に対する貸倒引当金の計上

一括貸倒引当金の繰入限度額の計算方法には、貸倒実績率による方法と、法定繰入率による方法があり、繰入限度額が多いほうを選択することができます。
ただし、法定繰入率の方法が使えるのは、中小法人(資本金1億円以下の法人)のみになるので、注意が必要です。

・貸倒実績率による繰入限度額

貸倒実績率による繰入限度額は、一括評価金銭債権の合計額に過去3年間の貸倒損失額の発生割合(貸倒実績率)を乗じて計算します。
・法定繰入率による繰入限度額

法定繰入率による繰入限度額は、一括評価金銭債権の合計額から実質的に債権とみられない額を控除した金額に、法定繰入率を乗じて計算します。
法定繰入率は、製造業の場合で、8/1,000、卸小売業の場合で、10/1,000となっています。

まとめ

法人税法上の貸倒引当金の計上処理は複雑なので、税理士などの専門家によく相談すべきでしょう。

 

 

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