固定資産の除却の処理を行うことで、法人税の節税につながるケースがあります。
具体的な処理を確認します。
有姿除却
機械などの固定資産を使用しなくなった場合、通常は撤去や廃棄などの処理を行います。
この時には、固定資産の簿価(取得価額から減価償却の累計額を差し引きしたもの)を経理上は、固定資産除却損として処理します。
固定資産の廃棄には、リサイクル費用を支払えば、業者が引き取ってくれる場合もあります。
ただし、撤去の場合、撤去の手間とお金がかかるため、そのまま放置しているケースもあります。
このような場合、以下の要件を満たせば、法人税法上、除却損として処理することができます。
「使用を廃止して、今後、事業の要に供する可能性がない」
「特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことが明らかなもの。」
このような条件に基づいた除却のことを有姿除却といいます。
ソフトウェアの除却
最近、IT化が急速に進み、中小企業においても、ソフトウェアを利用する会社が増えてきています。
また、IT業界でなくても、自社作成のソフトウェアを他社に販売するケースがあります。
法人税法上において、ソフトウェアの除却について、規定が設けられています。
自社で開発しているソフトウェアが、同業他社との競合で、開発と販売を中止ぜざるえを得ない状況になることもありえます。
ソフトウェアは、通常、5年で償却します。
ただし、販売を中止とした経緯と実際に中止した事実を明らかにできれば、法人税法上、除却損として処理することができます。
まとめ
通常の費用は、お金の支出を伴って、費用処理することになります。
しかし、固定資産の除却損を計上すると、お金の支出を伴わず、費用処理することができます。
よって、この有姿除却やソフトウェアの除却を行う事で、お金の支出を抑えながら、法人税の節税対策になります。